2011/03/06

適応能力を示した長友選手のイタリア初ゴール!

今日午後行われたサッカー・セリエA、インテルvsジェノア戦で、インテルDF長友選手が
見事ゴールを決めました!
チェゼーナ時代も含めて、イタリアでの初ゴールです。

この日は後半33分からの途中出場でしたが、4-1と大きくリードしている状況もあって
積極的に攻撃参加した結果生まれたゴール。
うまく反転して力強くゴール隅に決めた、ストライカー並みの技ありシュートでした!

特に印象的だったのが、ゴールを決めた後のチームメイトの祝福です。

司令塔スナイデルに手荒く抱きつかれながらも、アシストしたMFカルジャらも引き連れて
ベンチのレオナルド監督のもとへ一直線!
もみくちゃにされた後は、エースのエトー、キャプテンのサネッティらも加わり、
輪になってお辞儀のパフォーマンス!スタジアムは「ナガトモー!」の大合唱でした。

5点目というお祭り騒ぎもありましたが、祝福するチームメイトたちの表情を見れば、
長友選手が誰からも愛され、皆が彼の初ゴールを讃えている様子が分かります。


世界最高峰リーグのひとつであるセリエAには、これまでも日本人選手が挑戦してきました。
結果を出している選手はわずかですが、彼らに共通しているのはイタリア語を覚えたこと。
逆に結果が出せずに短期間で撤退していったのは、練習やインタビューで積極的に喋らず
学ぼうとしたのかどうかも定かではない選手たちです。

どの選手も高い技術は持っていました。
違いを分けたのは、チーム内でコミュニケーションをとったか、孤立したか、という点。
これはとても大事なこと。

私もバリスタとしてイタリアで何回もバールを「移籍」してきました。
その度に新人としてまずイタリア人のオーナー、同僚、お客さんの中に入っていくとき、
技術の前に最も大事なことが、コミュニケーションだと痛感しました。

イタリアには、日本のように「相手の考えを察する」という習慣は、一切ありません。
自己主張をして初めて自分の性格や考え方、意思が伝わるのです。
黙っていては、不気味どころか、存在すら気づいてもらえない屈辱を味わうことになります。

長友選手はまずチームメイトとじゃれ合い、好印象を与えています。
(仲良くなるには、いつだってシンプルな方法が一番!)
そうすることで、周りからアドバイスや気遣いを受け、ピッチではボールを回してくれ、
ミスをしてもカバーしてもらう、と容易に想像できます。
結果的にチームや戦術に早く適応することができ、これが成功するカギなのでしょう。
そしてすぐに結果を出せば出すほど、オーナーやサポーターの信頼は強くなります。

これはスポーツ選手のみならず、どんな職場でも、どんな学校でも同じことですよね。


ただ、イタリアに暮らす世界中の人たちと接してきて気づいたことがあります。
日本人の傾向としてコミュニケーション下手があり、それは他のどの国の人たちよりも
ズバ抜けていることです。

単に語学力不足、恥ずかしがり、といった性格的なものより、文化的な違いも大きいでしょう。

それは例えば、人を笑わせるジョークにも如実に表れていると思います。
イタリア人は誰もが笑えるような一般的な話題をネタにするのに対し、
日本人は知っている人には思い切りツボにハマるようなコアな言葉や表現を使います。
多様性に働きかける外向的アプローチと、同一性に働きかける内向的アプローチの違いは、
コミュニケーション手段としては対極で、文化の壁をまず感じる部分だと思います。

これは日本の、島国という地理、他民族とほとんど交わらず同じ文化を共有してきた歴史に
よるところがあるので仕方がありません。
しかし世界のほとんどの国には、異民族・異教徒らに侵略され支配された過去があって、
自衛のため、生き延びるため、自分の存在を理解させる意思表示が必要だったのです。
この価値観の根本さえ理解できれば、国際的なチームの中で自分が何を伝えるべきか
知ることは難しくないはずです。


ところが同時に、日本人が他の国の人たちに比べてズバ抜けていることが、他にもあります。
思いやり、真面目さ、器用さ、緻密さ、論理性、組織力といった、とても優秀な部分です。
日本人がどの国でも嫌われない、むしろ尊敬されている、特別な評価だと思います。

イタリア社会の中でも、多くの日本人が重用され活躍しています。
皆、明るく、主体的で、エネルギッシュな方々ばかりです。

長友選手もその素晴らしい見本となっています。
強豪インテルで出場し続けることはとても難しく、時にはスランプに陥ることもあるでしょう。
しかし、どんな厳しい状況も打開していく精神力が彼の一番の強さだと思うのです!


優秀な日本人が世界へと活躍の可能性を広げるために、実践的な外国語教育、および
コミュニケーション能力につながる主体性・表現力・適応力を身につけられる社会環境に
なっていってほしいと願います。
日本製工業製品というハードだけでなく、人材やサービスといった日本が誇るソフトも、
もっと輸出していく時期にきているのではないでしょうか?

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