2012/03/01

イタリア初!?缶コーヒー

ここ最近、高速道路のサービスエリアを利用する機会が多く、そこで缶コーヒーを見つけました。
日本では珍しくもありませんが、イタリアに住んで10年目の初めての発見です!

イタリアには自動販売機が極端に少なく、駅や病院などの公共施設、オフィスなどで
見かけるだけで、路上にはまず置いてありません。
扱う商品も缶飲料ではなく、ペットボトルのミネラルウォーターやスナック類程度で、
コーヒーはカップ式と決まっています。

缶コーヒーは、バールやキヨスク、スーパーでも見かけたことがありません。
バールが町中に溢れているイタリアでは、プロのバリスタによる抽出したてのコーヒーを
カウンターで気軽に飲めるため、缶コーヒーが受け入れられる土壌がないのです。
アルミ缶に直接口をつけることを嫌うイタリア人ですから、なおのこと…。

サービスエリアでは、この缶コーヒーはコールドドリンクとして冷蔵庫に陳列されていました。
雪が舞う真冬にイタリア人なら絶対に口にしないものです。
冷蔵庫のすぐ隣にはバールカウンターがあり、そこで熱々の美味しいエスプレッソを
飲めますし、テイクアウトだって出来ます。
おそらく、他のヨーロッパ諸国から来るトラック運転手や観光バス向けかもしれません…。


私も10年以上も缶コーヒーを飲んでいませんが、販売していた2種類を、試飲のため
買ってみました。

「コーヒー・ドリンク」(coffee drink) 150ml
「コーヒー・ドリンク・アル・ラッテ」(coffee drink al latte) 200ml

イタリアのコーヒー豆製造販売メーカーの老舗で、世界的ブランドでもあるイリー社の商品。
2009年から日本でも販売されている「イッシモ」(illy issimo)というシリーズです。
同年にイタリアでも発売されたとのことですが、ここ数年高速道路を利用することがなかったので、
まったく気づきませんでした。
「エスプレッソ」や「カフェ・ラッテ」ではなく、英語で「コーヒー・ドリンク」と名づけるあたり、
イタリアのコーヒーとはっきり区別していることがうかがえますね…。

それでもイタリアの代表的メーカーが製造した缶コーヒーとして、その味に興味がありましたが、
試飲してみればやはり普通の缶コーヒー。
香料、保存料は使用されていないものの、酸化防止剤や安定剤などの添加物はもちろん
使用され、イタリアンコーヒー独特の力強く深い味わいとは程遠い、ロングコーヒーでした。
しかもそれぞれ2.50ユーロと高価!約1.00ユーロで飲める本格的なバールのコーヒーに
勝るものがまったくないこの商品に、思わず首をかしげてしまいました…。

缶をよく見てみれば、製造工場はデンマーク。
記載の公式サイトを見てみると、言語は英語、日本語、ドイツ語、フランス語、ヘブライ語の
5ヶ国語のみで、なんとイタリア語がないのです!
販売元のイタリアの老舗メーカーが、イタリアを市場として見なしていないことに、
ようやく納得した気がしました。

やはりイタリアでは缶コーヒーは受け入れられません。
バール文化への高い誇りをもち、工業食品を嫌うスローフードの国・イタリア…。
つくった人の顔、飲む人の顔、人の笑顔をつなげる本来の食文化を守る防波堤が、
ここイタリアにはあるのです。
そのことを再認識させてくれた空き缶を眺めながら、少し嬉しい気持ちになりました。


イリー・イッシモ公式サイト
http://www.illyissimo.com/



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